マスク越しのコミュニケーション
「先生。」帰り際に小学4年生のAさんが目を輝かせて近づいてきました。
「歯が抜けたんだよ。」とうれしそうに教えてくれました。
「へえ~。良かったね。また少しだけ大人になったね。」と答えると、満足そうな表情をうかべて帰ってゆきました。
マスクをしながらレッスンをするのが普通になり、以前より子供たちとの会話や笑顔が少し減ったたように感じます。
生徒さんが日常のちょっとした事を話してくれて、それをきっかけに会話をできる事は、喜びであり生徒さんの性格や人柄を理解するためにとても役立ちます。
学校や他の教育現場でも、子供たちとのコミュニケーションが取りにくい、子供たちの社会性の発達に影響があるとの声が多数聞こえてきます。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、マスク着用は日常になりました。人は相手に自分の意思を言葉だけて伝えるのでは無く、表情やしぐさで補って伝えます。そのため、マスク越しの会話では、自分の意思や感情をなかなか伝えにくいものです。
赤ちゃんは最初、いろいろな人の顔やその動きを見て、顔と表情を区別する事を学びます。
顔と表情を区別する能力を身につけることにより、相手の気持ちを理解する能力の土台が作られてゆきます。
アメリカのイェール大学のデビット・ルコビッチ博士は、難しい言葉に出会うと、赤ちゃんの視線が話した人の目から口に移動することを発見しました。また、カナダのトロント大学のカン・リー博士は、マスクを着用する事で子供の感情認識の発達が阻害される可能性を指摘しています。
4歳から10歳くらいの子どもの脳は、「相手の視点に立って考えること」を発達させる時期だといいます。コミュニケーションを通して、相手はどう思っているのか、自分はどのように振る舞ったらいいのかをイメージする能力が芽生えてくるからです。
子供の成長は連続で積み重ねです。コロナ禍の状況でマスク着用によりコミュニケーションが困難になったと、途切れていいものではありません。
アトリエに通ってくれる間だけでも、少しでもお子さんの成長のお手伝いができるように心がけている事があります。
生徒さんと接する時には、少しでもこちらの意思が伝わるように、
声に抑揚をつける・表情やしぐさをおおげさにする・説明が分かりやすいように具体的に簡潔に話すなど・・・です。
先日ニュースで、新型コロナウイルス変異株を無力化する中和抗体を 10 日間で作成する技術が国内で初めて開発されたと聞きました。
治療薬ができれば、新型コロナウイルスはいずれはインフルエンザのような特別な風邪として扱われるかもしれません。
その時まで、子どもたちと関わる親御さんや教育関係の皆さまは、どうか頑張っていきましょう。
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