夏休み終了前の子どものメンタル

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 友だちの顔を見たいという子もいれば、学校に行きたくないと思う子もけっこういるはずです。

2023年10月の文部省の調査結果によると、小・中学校の不登校の人数は、22年度に約29万9000人となりました。
10年連続で増加して過去最多になりました。
児童生徒全体に占める割合は3.2%です。

高校の不登校生徒数も6万575人と、2年連続で増加しています。


不登校は、長期休暇の後が一番多くなります。

過去の調査報告書によると、「小学生が学校に行きづらいと感じたきっかけ」は、先生・身体の不調・生活リズムの乱れ・友だちと並んで、「自分でもよく分からない」が25.5%とけっこう多いのが特徴です。

子どもは大人と違い、自己分析も表現することも学んでいる途中です。
理由が分からない、上手く言えないけれど行きたくない、というお子さんがけっこう多いのは当然かもしれません。

ただし、不登校は、子どものストレス対処行動の現れです。

怖い話ですが、厚生省調査によると18歳以下の自殺者数は、夏休み明けの登校日が1年で最も多い日であり、この傾向は春休み明けやGW後にもみられます。

ネットで「学校 行きたくない」のワード検索がこの時期にとても増えるようです。


 では、周囲の大人はどう子どもたちに寄り添えば良いのか?

自殺予防の専門家は、『TALKの原則』の対応を呼びかけています。

『TALKの原則』」は、文部省・病院の自殺予防ガイドラインの一つとしてに採用されています。

Tell 言葉に出して心配していることを伝える。
Ask 死にたいという気持ちについて率直に尋ねる。
Listen 相手の気持ちを傾聴する。
Keep safe 安全を確保する。緊急時なら目を離さない。いじめが起きている場合は登校させない。


 不登校の子どもの気持ちについても調査結果があります。

「学校を休んでいる間のあなたの気持ちとして、あてはまるものは?」という質問に対して。

小学生は、「ほっとした」70%・「自由な時間が増えてうれしい」66%・「勉強の遅れの不安」64%。
中学生は、「勉強の遅れの不安」74%・「ほっとした」69%・「進路・進学の不安」66%。

「どのようなことがあれば学校に戻りやすいと思いますか?」という質問に対して。

特になし (小学生57.1%・中学生54%)が、一番多い答えでした。

不登校になる理由がよく分からなく、対処する方法も分からないので、難しい問題です。

大人の人は、結論をすぐに求めず、子どもの話に耳をじっくりと傾ける姿勢が必要なのかもしれません。


 国が学校に求める対応も「学校へ戻すことがゴール」から、2017年学習指導要領改訂から大きく転換しました。
個々の状況に応じた支援が必要とし、自らの進路を主体的に捉え社会的に自立することを目指しています。

勉強のサポートも以前に比べて、たくさんの選択ができるようになりました。

文部科学省では現在、不登校児童生徒の実態に配慮して特別の教育課程を編成できる「学びの多様化学校」を、分教室型も含めて全国300校の設置を目指しています。

また、学校設置支援のほか、校内教育支援センターの設置、教育支援センターのICT環境の整備、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置も計画しています。


 不登校は、どの子どもでもなる可能性があります。

長期休暇後の登校日には、家族で外食に行ったり、カラオケに行く。
子どもが喜びそうな楽しみを予定しておくのも良いかもしれません。

ストレスはすぐになくなるものではありませんが、楽しみや目標となるやりがいのあるものが見つかると、あまり気にならなくなることもあるからです。


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