坂本藍子展『森の雫』

以前グループ展で作品を目にしてから、ずっと気になっていた作家の坂本藍子さん。
先日、東京・江戸川橋の「Gallery Field」で開催されている坂本藍子展『森の雫』を観てきました。

「森の木の葉から落ちる雫があらゆる命の源となって循環していく世界を表現したいと思いました。」※ポストカードから抜粋
作者の想いが形になった、とても美しい素敵な個展でした。
最近の作品の特徴の「青の蝶」が画面いっぱいに使われています。


自身の名前で使われている「藍」は、濃い青色の染料が取れる植物。
「青」は、特別な色なのかもしれません。
黒を背景に、胸に想いをつのらす女性。
女性の心の変化を体現するような、飛び交う蝶。
立体に作られた蝶は、麻紙を後ろから細い針金で固定して、箔で飾り付けられています。
見る角度により、違った色彩を楽しめます。
いつまでも眺めていたくなる、とても美しく魅力的な作品でした。
しばらく作品から目が離せず、時間を忘れて鑑賞しました。
ちなみに、青い蝶で有名なのは、ユリシス。
日本名は「オオルリアゲハ」。
オーストラリアでは、 その姿を見ると「幸せになれる」・「お金持ちになれる」、幸運をもたらす蝶と言われています。
ネイティブアメリカンの間では、神様の使いと言われています。
秘密の願い事を蝶に囁くと、神様に伝えてくれるそうです。
月を題材にした、金色の蝶を使った作品もありました。
満月が好きなこともあり、こちらの作品も大好きでした。

今回、半分以上のスペースを使って、「ハチドリ」の絵が展示されていました。

すべてのハチドリを連続のコマ撮りにした動画が、壁に映されています。
気に入ったハチドリを選ぶと、額に入れた状態で購入できます。

こちらの作品は、能登半島地震の復刻支援が目的で創作されたもの。
収益の一部が寄付されるそうです。
ギャラリーを使用するには、けっこうな費用がかかります。
作品が売れても手数料が引かれるため、少しでもたくさんの作品を販売したいものです。
売れっ子の作家とは言え、なんて尊い行いなのでしょう。
頭が下がります。
「ハチドリ」を題材にしたのは、「ハチドリのひとしずく」という南米の民話が発想の土台になっています。
山火事で燃えている森の中で、一生懸命に口にふくんだ水で火を消そうとするハチドリ。
ハチドリはくちばしが小さいので、一回に一雫の水しか運べません。
他の動物たちがそれを見て「そんなことをして いったい何になるんだ」と笑います。
ハチドリは答えました。「私は、私にできることをしているだけ」
考えさせるお話です。
坂本藍子展『森の雫』
♦︎会期 2024年12月12日(木)~ 12月22日(日)
♦︎会場 Gallery Field 東京都文京区関口1-10-8 1F
♦︎料金 無料
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